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母子を支える支援者の輪を広げたい!福岡県への視察報告 第3回
こんにちは!認定NPO法人LivEQuality HUB(リブクオリティハブ)です。
過去2回にわたり、1日目・2日目の訪問先についてご紹介をさせていただきました。今回は、最終日に訪問させていただいた抱樸さんについてご紹介します。
いよいよ最終日。私たちは、福岡県北九州市に向かいました。
1988年に困窮者・ホームレス支援から開始し、今年で36年。現在は居住支援や就労支援だけではなく、子ども・家族支援など多数の事業を展開する、日本でも有数のNPO団体である認定NPO法人抱樸さんを訪ねるためです。
認定NPO法人抱樸さん
https://www.houboku.net/
抱樸さんは、長年の活動から「ホームレス(社会的孤立)」と「ハウスレス(経済的困窮)」の違いに注目し、物質的な困窮状態を埋めるだけではなく、人と人との繋がりづくりをとても大切にされています。
実は、私たちも「快適な住まい」と「安心できる繋がりづくり」をキーワードに活動をしていますが、それは住まいがあったとしても、その後、生活が安定するためには、行政や専門家、地域コミュニティとの繋がりが重要であると考えているからです。
そういった思いから先駆的に活動している抱樸さんの取り組みを勉強するため、今回お邪魔してきました。
北九州市に、相談窓口やシェルター、学習支援、放課後デイサービスなど、様々な機能を持った複合型社会施設を作る。そこを拠点に「孤立する人がいないまち」、「誰もが助けてと言えるまち」を広げていきたいという強い思いから、抱樸さんは、前代未聞の「希望のまちプロジェクト」に取り組んでいらっしゃいます。
希望のまちプロジェクト
https://www.houboku.net/pj/kibou/
当日私たちは施設の建設主体である社会福祉法人の理事の石井さんにご案内いただき、「希望のまち」の建設予定地を訪れました。いつでも地域の人が立ち寄れるという「SUBACO(すばこ)」と呼ばれるプレハブの建物は、地域の子どもたちやアーティストが一緒に描いたという鮮やかな絵で彩られ、周りは、芝生と幾つかのお花で囲まれた、心がほっこりする空間です。
しかしそこは、もともと特定危険指定暴力団の本部事務所があった場所。当時は怖くて道路ですら誰も近付かないようなエリアだったと言います。
様々な地元の人たちや専門家の協力を得ながら、まちづくりに対する聞き取りをしたり、不定期にイベントやワークショップを開催したりすることで、抱樸さんでは、地域の人たちが集いやすい環境を丁寧に設計しています。どんな手法で地域の人たちに活動を知ってもらったのか、ふらっと気軽に訪れてもらいやすくするための工夫は何か、などお聞きしたいお話が盛りだくさんで、多方面で情報交換させていただきました。
希望のまちプロジェクトには総額3億円を超える寄付が集まり、2024年から建設開始予定とのことです。完成の暁には、ぜひまたお邪魔させていただきたいと思っています。

*「SUBACO(すばこ)」と呼ばれるプレハブ。道路に面した側から写真撮影。
続いて、居住支援の現場をより学ばせていただくため、見守り支援付き住宅である「プラザ抱樸」を見学させていただきました。
私たちも取り組んでいる見守り付き支援住宅は、生活支援を必要とする方々やその周囲の支援者にとって、安心できる材料の一つとなり得ます。
しかしこうした需要がある一方で、見守り付き支援がうなぎ上りには増えない背景には、支援の難しさがあります。
支援者が支援に注力するためには、支援員が稼働できる支援費が必要ですが、活用できる公的な支援制度は現状ほとんどありません。そのため、支援員の数が限られる中で、当事者に寄り添った支援がいかに実現できるかという工夫が支援団体に問われています。
抱樸さんが2017年から開始された「プラザ抱樸」は、単身での生活が可能であるものの何かあったときのための見守りや、生活支援が必要な方々に対して、住まいと生活支援、家賃保証を組み合わせて提供しています。また、支援者の立場からすると、持続可能な支援という難易度の高い課題を突き詰めて考えて実現された見守り支援付き住宅とも言えます。
当日は、抱樸の山田さんに、支援者数が限られる中でいかに持続可能な居住支援モデルを構築するかについてご説明いただき、意見交換をさせていただきました。
「プラザ抱樸」が始まったきっかけは、偶然にも、半数以上が空室の100部屋規模のマンションを借りることができたこと。
その結果、転貸事業のスキームが実現できました。つまり、大家さんから抱樸さんが空室を比較的安価に借り、僅かな支援費を上乗せした家賃で、当事者にその空室を貸す事業のスキームです。
さらに、多くの空室を活用することができたことで、物件から物件の間を移動する支援員の手間を最小限に削減できたというメリットもありました。
しかし転貸事業の場合、借り手(ここでは、見守り支援を必要とする当事者)がいない空室期間中も当然ながら、大家さんに家賃を支払う必要があります。これは、決して資金が潤沢なわけではないNPOにとって、かなり痛い出費です。
そのため、抱樸さんでは、空室が埋まったら次の部屋を借りる、といった形で段階的に部屋を借りることで、空室期間中の家賃負担リスクを軽減しました。
最終的には、大家さんから物件一棟を丸ごと購入し、一棟全体で収益が安定するよう、経営しているそうです。
しかしながらそれでも支援費は十分ではなく、助成金や寄付、ステークホルダーとの緻密な交渉まで、あらゆる工夫を積み重ねていらっしゃいます。
こうした不断の努力が功を奏して、今までは少なかった女性や若者も含めて、入居し、自立に向けた一歩を後押しするサポートが実現しています。

*向かって左から、青木、岡本、山田さん、石井さん、神、藤岡
これまで全3回にわたり、福岡県の支援団体を視察した様子について、お届けしました。
実は、今回の視察を企画する随分前から活動について伺っていた団体さんも多くいて、その活動の素晴らしさに見上げるような心持ちでいました。しかし、今回の視察を通じて、活動の現場を目の当たりにし、実際に現場で活動されているみなさんの熱量や思い、等身大の悩みに触れる中で、一層のリスペクトだけではなく、同じく困り事を抱えた沢山の人に寄り添う支援者同士として意見交換をさせていただく機会もあり、どのように連携できるかを考えるきっかけを得ることが出来ました。
最後になりましたが、改めて私たちの訪問を受け入れてくださったみなさま、本当にありがとうございました。
今回の視察は、令和4年度(補正予算) 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業を受けて実現しました。事業報告書はこちら