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「外部不経済を、仕組みで解決したい」西川コミュニケーションズ株式会社社長・西川さんインタビュー
私たちが活動拠点としている名古屋市東区のナゴヤビルから徒歩圏内に、同じく本社を構える「西川コミュニケーションズ株式会社」さん。なんと118年(!)の長い歴史を持つ老舗企業です。
印刷会社として創業され、現在は、マーケティングやAI等、コミュニケーション領域におけるあらゆる課題解決を手掛けられています。そんな西川コミュニケーションズさんと私たちの出会いのきっかけは、西川コミュニケーションズさんが社会貢献活動の一つとして地域で不定期開催されている「ニコっとこども食堂」でした。居住者さん世帯を「ニコっとこども食堂」にご招待いただいたり、地域の母子家庭を無料招待して私たちが昨年秋に開催した「こどもえんにち」に出店いただいたり、西川コミュニケーションズさんのオウンドメディア「つつつ」でLivEQuality HUB紹介記事を掲載いただいたりなど、幅広い形でご一緒させていただいています。
社会課題をビジネスで解決したいという熱い思いを持ち、すぐご近所で活動されている西川コミュニケーションズさん。その存在は、私たちにとっても大変心強く、ぜひ多くのみなさんに知っていただきたいと思い、今回、代表取締役社長の西川さんに、当団体代表の岡本からインタビューをさせていただきました。
岡本: 本日は念願の対談が実現いたしまして、本当にありがとうございます。 まずは簡単に自己紹介をいただけますか。
西川さん: はい、西川コミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長の西川栄一と申します。元々は印刷業としてスタートした会社で、名古屋で創業してから118年が経ちます。創業者である私の曽祖父が早くに他界したため、まだ中学生になるかならないかの状態だった祖父が2代目として事業を引き継ぐことになりました。なんと祖父は中学生にして、兄弟4人の暮らしを支えることになったのです。

西川さん: 実は、創業の場所も今の本社(名古屋市東区東桜)のすぐ近くなんですが、戦時中には、このあたりも空襲がありました。さらに祖父本人も徴兵されて、それで事業が回らなくなって。非常に苦しかったみたいですけど、 無事戦争が終わって戻ってきて家業を立て直してという、そんな感じだったそうです。
岡本: すごい歴史ですね。
西川さん: その中で、新たな事業として、電話帳の印刷を手掛けるようになり、だんだん事業が成長していきました。当時、電話帳は生活必需品。印刷だけでなく、各家庭や企業への配布も行い、ずっと安定した仕事がある状態だったんです。
岡本: 西川さんは、いつ社長に就任されたのでしょうか。
西川さん: ちょうど110周年を迎えた年に交代させていただきました。実は、私が社長に就任してからの8年の間にも、元の印刷業がどんどん縮小してきています。
岡本: 電話帳の紙の時代から今インターネットにという中で、かなりの変革が必要だったと思います。
西川さん: そうですね。早い段階から、マーケティングやインターネットを含む様々な新しい分野への挑戦を模索していきました。これは決して私だけがやってきたことではなく、うちの父、現在の代表取締役会長が、印刷業界の縮小が顕著になるよりも前から取り組んできたことです。現会長は、ベンチャーファンドの運営にも携わるなど、多角的な挑戦をしてきました。それによって、だんだん弊社の中にもITの土壌ができてきたんです。
岡本: なるほど、その風土があったからこそ、今の活動になっているということですね。
西川さん: はい。会社のDNA的に、脈々と受け継いできた部分があって進めているというところです。
岡本: 西川さんご自身が経営者として大切にされていることは何ですか。
西川さん: 私が最も大切にしているのは「人間大事」という理念です。これは、1番大事なのは人間の尊厳と命であるという考え方。人間の尊厳と命を大事にするために、組織が存在して、国が存在しているという順番で考えなければいけません。当たり前に思えることですが、意外とこう、節々でできていない部分が発生することがあり得るというのは、皆さんも思っていらっしゃると思います。そうならないようにしなきゃな、と常に会社のいろんな場面で、自分が判断する上で中心に置いている言葉が、「人間大事」です。そうは言っても、「人間大事」と言いながら、苦渋の決断をしなければならないときも当然あります。本当にこれでいいのか悩んだときには、最終的には「人間大事」に立ち返って、自問自答しながらやっています。
岡本: 印刷業界の縮小の中で「人間大事」を貫くのには、難しさもあったのではないでしょうか。
西川さん: 印刷の技術は、活版印刷からどんどんデジタルの方にシフトして、今や、版がなくても印刷ができる、いわゆるオンデマンド印刷というものもあります。そんなに大きな変化があると、もともと活版印刷に携わっていた人たちが社内で不必要な形になってしまう。そうならないために、社員に対するデジタル系やweb系の再教育に力を入れてきました。
岡本: 大きな変化の中で、リストラをすることなく新しい事業を作ってこられたとのこと、本当に素晴らしいです。再教育は結構時間もかかると思いますし、さらにデジタル領域というと結構ジャンプがありますよね。

西川さん: アナログからデジタルへのシフトは、実は経営陣よりも現場のプロフェッショナルたちが早く自覚していたと思います。技術の変化を展示会などで感じ取って「自分たちの仕事は将来なくなるかもしれない」と、新しい技術を習得しなければならないと考える社員が数多くいました。だから、「なんかやろうか」となったとき、「やります」と積極的に動いてくれました。変革に対する抵抗勢力みたいなものがなかったかというご質問をいただくことがよくあるんですが、私自身は正直感じたことがないんです。もちろん、中には当然そういうことをやりたくないと選択する社員もいますが、「社長、自分はそういうの…」と言われたら「わかった!」と言って、本人の望む形にしてきました。いろんなパターンがありますが、最終的には、明るく楽しく取り組んでいるうちに、徐々に変わっていくのかなとイメージしています。
岡本: 御社として、そして西川社長としての今のテーマを挙げるとしたら、何でしょうか。
西川さん: う〜〜〜ん(唸る)、そうですね、とりあえず「まず生き残る」。これが大きなテーマになっています。会社が存続するっていうよりも、 今のうちの社員たちが今と同じような生活水準、今以上の生活水準を、きちんと定年までは落ち着いて迎えられるようにする。最悪、うちの会社がなくなったとしても給料が落ちないようなスキルや経歴を社員たちが持っている状態にするのが、使命だと思っています。例えば、うちの会社でずっとこき使って働いてて、パッとやめたら、いや、このスキルではちょっとこの給料しかっていう風にはならないようにしたいなと。このスキル持ってたら、こんだけの給料もらえるよねということを、やっぱり会社としての仕事として与えたいと思うし、教育もしっかりしていきたいなっていうのが、まず社員とその家族たちに対する自分の責務なんですよね。

西川さん: それをまず達成しなければいけないのですが、時代がどんどん変わっていくので、キャッチアップするだけでもなかなか大変ではあります。
岡本: 西川コミュニケーションズさんは社会貢献活動にも積極的に取り組んでおられます。
西川さん: まず、うちの企業理念自体が近江商人の「三方よし」から来ていて。その中で「社会のため」ということを本当にしっかりやっていかないといけないと常日頃から思っています。現状に対してはまだまだ不満足で、本当はですね、やっぱり社会のために良くなるサービス、商品を開発したいんです。
社会の需要と供給のバランスの中に出てくる外部不経済を、仕組みとして解決したい。 例えば渋滞でもそうですよね、みんなが車で移動すると、混む。そうすると外部不経済が出る。 その外部不経済を、税金や規制ではなく、サービスやテクノロジーで解決することができるといいなっていうのは常日頃から思っています。
でも発明っていうのはなかなかすぐできないので、細々としたところをちょっとずつやりながら、ただ、社会のために、自分自身がやってるものを向けていかなきゃならんという思いがあるんです。

西川さん: そんな中で、最近は「SDGs(持続可能な開発目標)」という考え方もあって、そうした活動を社員と一緒にやりやすくなりました。例えば、浜松では海岸でのゴミ拾い活動や、本社ではこども食堂などに取り組んでいます。僕がリーダーシップを持っているわけでもなく、僕が行ってないイベントも結構集まっているので、新しい時代の価値観の共有なのかなと思います。
西川さん: 僕たまたま大学が経済学部だったんですよ。需要と供給のバランスは「神の見えざる手」というものによって、実は価格的にも数量的にも一番いいのが決まりますよという話を、学生時代に聞いたんです。でも、それだけに任せると、どうしても上手くいかない不都合として「外部不経済」が必ず社会に出てくる。それを聞いたときに、「あ、それ俺の仕事だな」と思ったんです。

岡本: すごい、まさにミッションですね。
西川さん: そうなんです。税金や規制で押さえつけると幸せが減ってしまう「外部不経済」をテクノロジーで解決したい。それをずっといまだに持って、でも、なかなか到達できず。
岡本: そういう意味では本当に、近しい考え方を私も持っているっていうのがすごくあって。僕はビジネス出身なんで、ビジネスに可能性があると思っているんですが、やっぱりビジネスでも行政でも解決できないことをなんとかしたいなというのはずっと思ってて。
西川さん: エコシステム的な仕組みですよね。そうなると、ほんとに1社だけじゃできないから、色んなところを巻き込んでやらないといけない。だんだん昔と違って、競合だとかそういう概念もなく、そういう話が色々とできる環境ができてきましたよね。時代的にすごく良くなってきたなと思ってまして。

<「こどもえんにち」でワークショップブースをご担当くださった西川さんと、岡本>
西川さん: そういうときに岡本さんたちみたいな存在が、今、本当にこの地域にも必要だと思います。実際に汗をかいてみんなよりも先にやってる人じゃないと、集まってくれたり納得してくれたりするっていうことはないと思うので。
岡本: ありがとうございます。そんなふうに言っていただけて大変うれしいです。何か僕らもご一緒にできることをさせていただけたらなと思いました。西川さんは皆さんから愛されて、本当に行動もされていて素晴らしいな、ご一緒したいなと思っていたので、まずはこのような場を実現できたのが本当に嬉しいです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
西川さん: ありがとうございました。
先日、LivEQuality HUBが伴走支援するシングルマザー家庭を対象に開催した流しそうめん大会では、西川さんと西川コミュニケーションズの皆さんに企画段階からご協力いただきました。思い出作りにとフォトスポット制作や物資の提供をいただいただけでなく、西川さんは当日も駆けつけてくださり、片付けを一緒に手伝ってくださいました。
税金や規制ではどうしても解決できない「外部不経済」を見て見ぬふりするのではなく、それこそが自分の仕事だと語られていた姿が印象的でした。
これからも末永くご一緒できるとうれしいです!素敵な時間をありがとうございました。
ウェブサイト
https://www.nishikawa.jp/
西川コミュニケーションズさんのSDGsに関する活動を知ることができるメディア「つつつ」
https://note.com/nicosdgs/
認定NPO法人LivEQuality HUBでは、困難な状況に置かれてしまった女性と子どもの暮らしに伴走するためのご寄付を随時受け付けております。皆さまからの応援が大変励みになります。(当団体は名古屋市から指定を受けた「認定NPO法人」です。認定NPO法人へのご寄付は、寄付金控除の対象となります。)
https://livequality.co.jp/hub/donate/other/houjinp
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