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災害時の対応方法③避難から災害後の対応まで
災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。
いざというとき、「子どもを守りながら、どう動けばいい?」「避難所ではどう過ごす?」「家に戻ったら何から始めればいい?」と、たくさんの不安が出てくると思います。
特に、お子さんと暮らすお母さんにとっては、自分の安全だけでなく、お子さんを守りながら判断し、行動することが必要になります。
だからこそ、何も起きていない今のうちに、「もしも」のときのことを少しだけ考えておきませんか?
全3回に分けた今回のコラムでは、名古屋市にお住まいのシングルマザーの方に向けて、日頃の備えから、災害が起きた直後の行動、避難所での生活と防犯、自宅に戻るときの注意点、災害後の生活まで、親子で知っておきたいことを順番にご紹介します。
自宅ではなく、いざ避難所に避難するとなった時も、状況によっていくつか注意しておきたいことがあります。
ガスの元栓を閉める:ガス漏れによる火災を防ぎます。
ブレーカーを落とす:電気火災(通電火災)を防ぎます。各家電のコンセントも抜いておきます。
施錠する:玄関ドアだけでなく、ベランダや浴室の小窓なども注意して施錠します。
水を確保:避難所に物資が届くまで時間がかかることがあります。災害後すぐ自宅から移動する際、水道がまだ出る場合は浴槽に水を貯めておいてから外出しましょう。
お子さんと別々の場所にいる時に災害が起きると、とても不安ですよね。
すぐ迎えに行けない・連絡が取れない状況の場合、日常の中で「もしもの時にどう動くか?」の話し合いができていると、いざという時にためになります。
災害時の避難先を学校に確認
近隣住民やママ友に伝えておく
避難先での待ち合わせを事前に決めておく
いつ(9時12時15時18時)どこで(○○学校の○○門)どのくらい(○○分)待つのかを、話し合っておきましょう。すれ違いや、待ちぼうけによる疲労・孤立を防ぎます。スマホなどがなくても時間を確認できる施設だとよいです。
また、「これから○○分そこで子どもを待つので、物資支援の列を少し抜けて〇分後戻ってきてもいいですか」など、期限が決まっていれば、周りの人に頼みごとをするときも便利です。会えなかった場合はどうするかも合わせて考えておくとよいでしょう。
車移動の場合、ルートや状況によって以下の点に注意が必要です。
経路に川がある場合、橋は通れなくなると考える
川などを避け迂回しても避難できるよう、車のガソリンは常にある程度入れておく
市街地の場合、歩行者が車道に出たり信号が止まったりして、身動き取れなくなる可能性がある
不安や疲労を抱えて過ごす避難所生活を、少しでも快適で安心した状態に近づけるために、避難所の基本的な利用方法や、注意点をご紹介します。
避難所についたら、避難者名簿を記入して受付を行います。自分とお子さんが避難していることを伝えます。
DVなどの理由により名前や住所を公表できない場合は、通常の避難者登録票には登録せず非公表の情報として扱うよう定められています。ご自身とお子さんの身を守るために、必ず伝えましょう。
食事や物資の配布、トイレ、ごみ、消灯時間、充電場所などのルールは避難所によって異なります。到着したら、掲示やスタッフからの案内を確認しましょう。
「子どもが小さくて長時間列に並べない」「授乳する場所が必要」「生理用品が必要」「持病があり薬が必要」「周囲の人の行動が怖い」など、困っていることがあれば我慢せず避難所のスタッフに伝えましょう。
災害時は、混乱に乗じて犯罪が起きやすいです。無人の民家や店舗への窃盗などだけでなく、ストレスが溜まりやすく人との距離も近い避難所内でも多く見られます。起こりうる犯罪の種類ごとに、対策をご紹介します。
窃盗は災害時に一番多くみられる犯罪です。
現金やスマートフォン、身分証明書などの貴重品は、リュックやウエストポーチなど、体から離れにくいバッグに入れて持ち歩くようにしましょう。
就寝時など、常に身につけておくことが難しい場合は、100円ショップなどで購入できる南京錠を使い、バッグのファスナーを施錠しておくのも一つの方法です。
人前で大金の入った財布を広げることは避け、普段使う少額のお金を入れた財布と、予備の現金などを保管する財布を分けておくと安心です。
「荷物見ててあげるから物資の列に並んで来たら?」という、一見善意に思える声掛けでも、細心の注意を払いましょう。
あってはならない事ですが、災害時は女性や子どもへの性犯罪も多く発生しています。被害に遭った時の対応と、対策をご紹介します。
まずは身の安全を確保
危険を感じたときは、ためらわずに大きな声で周囲に助けを求めましょう。ただ、とっさの場面では何と言えばよいか分からなかったり、怖くて声が出なかったりすることもあります。そんなときは、防犯ブザーやホイッスルを鳴らして周囲に危険を知らせるのも有効です。
速やかに110番&避難所スタッフに通報
加害者が近くにいる・再び危害を加えられる可能性がある場合は、まず人のいる場所へ移動し、安全が確保できる状態で通報します。
証拠はできれば残す
着替えや入浴前に相談できれば証拠保全につながることがありますが、まずはあなたの安心と安全が第一です。
緊急ではないが警察に相談したいときは「#8103」に電話
医療や今後の支援について相談したいときは「#8891」に電話
被害に遭われた方の中には、「あの場所に行かなければよかった」「怖くて声が出なかった」「抵抗できなかった自分が悪いのかな…」など、ご自分を責める言葉を口にする方がいらっしゃいます。しかし、もし被害に遭ってしまっても、自分を責めないでください。あなたは絶対に悪くありません。災害という大変な状況の中で、あなたは自分とお子さんを守るために精一杯行動しています。悪いのは、混乱や不安に付け込み、他者に危害を加えた犯罪者だけです。
全部を一度に考えようとしなくても大丈夫です。今できることを、少しずつ対応していきましょう。
一人で行動しない
夜間や人通りの少ない場所、トイレなどへ行くときは、できるだけ信頼できる人と一緒に行動しましょう。
性被害は女の子だけでなく、男の子が被害に遭うこともあります。 お子さんをできるだけ目の届かない場所へ一人で行かせないことも大切です。
男の子が男子トイレへ一人で入る場合は、入口の外から声をかけるなどして見守りましょう。また、個室を利用するときは、扉が開いていても中に人がいないことを確認してから入るよう、あらかじめお子さんと話しておくと安心です。
着替えや授乳は専用スペースを利用
女性専用スペースや更衣室、授乳室などをできるだけ利用しましょう。その際、ドアがしっかり閉まっていることや小型カメラなどの盗撮がされていないかも合わせて確認しましょう。安心して利用できる場所がないときは、避難所のスタッフに相談してみてください。
授乳は服などで隠して対応することもできるので、夏場に避難する場合でも上着は1枚持っておくと便利です。
「なんとなく怖い」「おかしい気がする」という感覚も大切にする
男性がわざわざ隣に寝に来る、授乳の事についてしつこく聞いてくる、身体をじっと見られるなど、”犯罪とまではいかないけど…”と思うようなことでも、あなたやお子さんが嫌だと感じるなら、対処・回避しましょう。
災害時には「みんな大変だから」「生きてるだけでもありがたい」という言葉をよく耳にしますが、災害を乗り越えて生活することと、性被害やセクシャルハラスメントは、まったく別の話です。
お子さんにも防犯意識を
普段から、パーソナルスペースやプライベートゾーンについて、親子で話しておきましょう。災害時は、お子さんもいつも以上に不安を感じています。
そんなときだからこそ、
・嫌だと思ったら、誰に対しても「嫌だ」と言っていい
・自分の体や気持ちは、自分の大切なもの
・おむつ交換や着替えなど、体に触れるお世話は、決めた大人以外にはさせなくていい
と、改めて伝えておきましょう。
お子さんと合言葉を決めておくと、「お母さんに頼まれたから」と知らない人から言われても合言葉を知らなければ応じない、など離れている時でもお子さんを守ることに繋がります。
また、性被害は大人からだけでなく、子ども同士で起こることもあります。災害や避難生活のストレスから、いつもと違う行動が見られることもあります。避難所で子ども同士で遊ぶときも、できるだけ大人の目が届く場所で過ごせるようにしましょう。
災害時の下着選び
避難所で洗濯ができるようになっても、干している下着を盗まれたり、異性に見られて不快な思いをしたりすることがあります。
そのため、防災バッグには、色やデザインが目立ちにくい下着や使い捨てできる下着を用意しておくと安心です。防犯面が気になる場合は、男性用の下着を選択肢にする方法もあります。
共同の物干し場を利用するときは、タオルなどで囲んで外から見えにくくしたり、できるだけ長時間その場を離れないようにしたりするのも一つの方法です。
家族のものと区別するために目印を付ける場合は、外から見える場所に名前を書くのではなく、内側のタグなどに自分だけが分かる印を付けておくとよいでしょう。
また、避難所で下着を干すことに不安がある場合は、洗濯する回数を減らす工夫も考えておきましょう。おりものシートなどを備えておくほか、日常生活で下着を買い替える際に、まだ使用できる古いものを防災用として保管しておき、災害時に使ったあとは処分する方法もあります。
シングルマザーであることを必要以上に話さない
「夫はいない」「頼れる人がいない」「ここには知り合いがいない」などの情報を、知らない人に詳しく伝える必要はありません。少しでもリスクを減らすために、覚えておきましょう。
防犯グッズ
防犯ブザー:大きな音(100db以上)が出るもの
入れ墨アームカバー:ある程度の抑止力になります
小型の強力なランタン:ぶら下げて歩ける程度のもの
SNSなどを使って、「○○で支援物資を先着順で無料配布します。重複防止のため名前と住所を伺います」など、偽の物資支援や義援金の情報を流し、個人情報をだまし取ろうとするケースにも注意が必要です。
支援情報を見つけたら、自治体や支援団体などの公式ホームページ・公式SNSにも同じ案内が掲載されているか確認することが大切です。
特に、住所や身分証明書、銀行口座などの情報を求められたときは、一度立ち止まって確認しましょう。
また、詐欺に関しては災害後にも多く発生しています。国民生活センターによると、「火災保険を使って自己負担なく、住宅の修理ができる」など、「保険金が使える」という悪質な勧誘の手口が増えているとのことです。
災害がひとまず落ち着いたあと、避難所から自宅へ戻り、日常生活を取り戻していくためには、どんなことから始めればよいのでしょうか。災害後に確認しておきたいことを順番にご紹介します。
車のエンジンは自分でかけずに、ロードサービスや自動車販売店に連絡
家に入る際は、野犬や不審者の侵入がないか確認する
家に入ったら、煙やガスのにおいがしていないか確認する
水没した家電は、漏電火災の危険があるため、絶対に自分で電源を入れたりコンセントに挿さない
家に戻ったら、被害写真を色々な角度から複数枚撮っておきます。災害見舞金等の取得や、火災保険の補償請求の際に必要になるからです。近くから・全体が分かる距離から・色々な角度 など、被害状況が分かりやすいように複数枚撮影します。
被害の程度や災害の規模などによって、
・名古屋市の災害見舞金
・被災者生活再建支援金
・市民税などの減免や支払いの猶予
・国民健康保険料や医療費の減免
・国民年金保険料の免除
・住宅の修理などに関する支援
・生活再建のための貸付制度 などを利用できる場合があります。
また、火災保険・地震保険などに加入している場合は、保険会社にも連絡しましょう。賃貸住宅でも、家財の被害などが補償の対象になることがあります。
こうした制度は、被災したらすべて自動的に受けられるわけではありません。申請期限が設けられているものもあるため、できるだけ早めに区役所などへ相談しましょう。名古屋市での実際の申請は、区役所の総務課が窓口です。
名古屋市くらしの手続きガイドで、質問に沿ってご自身の状況を答えると、使える制度や対応すべきことを一覧で把握できます。
災害によって電気・水道・ガスなどのライフラインが止まると、復旧までに時間がかかることがあります。
地域や災害の規模によって異なりますが、東日本大震災では、各ライフラインが約9割復旧するまでに、電気は6日、水道は24日、ガスは34日かかりました。
まずは、全ての家電や電化製品をコンセントから抜かれていることを確認します。家電やコードの破損、浸水、焦げた跡や異臭がないことを確認します。特にドライヤーやヒーターなどの熱を発するものには注意します。
※水没した家電は、危険ですので安易に使用しないでください。
すべて確認出来たら、ブレーカーを「入/ON」にします。
照明がついて電気が通っているのを確認出来たら、家電を一つずつコンセントにつないで使用を開始します。
断水が解消して水が出るようになっても、いきなり普段通り使うのではなく、以下の事に注意して使用しましょう。
まずは水の状態を確かめましょう
蛇口を少しずつひねり、全開にしてバケツ1~2杯程度出してから水の状態を観察しましょう。異臭や濁りがある場合、飲料や料理に使うのは避けたほうがよいです。
設備にすぐ使用するのはちょっと待って
濁った水や水道管内の空気が、給湯器・洗濯機・浄水器などの設備に入ると、不具合につながる可能性があります。
トイレを流すのは要確認
水道が復旧していても、下水道が被害を受けている場合があります。自治体から下水道の使用制限が出ていないか確認し、もんだ
災害が落ち着いたあとも、お子さんの心には不安や怖さが残ることがあります。
「一人になりたがらない」「甘えが増える」「夜泣きやおねしょをする」「怒りっぽくなる」「災害のことを繰り返し話す・遊びで再現する」など、普段とは違う様子が見られることもあります。
そんなときは、無理に元気にさせたり、災害について話をさせたりする必要はありません。「もう安全だよ」「一緒にいるよ」と伝え、できるだけ普段に近い生活や親子で安心して過ごせる時間をつくりましょう。
お子さんが災害について話したがるときは、否定せずに話を聞き、「怖かったね」「びっくりしたね」と気持ちを受け止めます。抱っこや手をつなぐなど、お子さんが望む触れ合いも安心につながります。
また、災害の映像やニュースを繰り返し見ることで、不安が強くなることもあります。テレビやスマートフォンから入る情報の量にも気を配りましょう。
普段と違う様子が長く続く、眠れない・食べられない状態が続く、学校や保育園などの日常生活に大きな影響が出ている場合は、お母さんだけで抱えず、学校や保育園、かかりつけ医、子どもの相談窓口などに相談してください。
そして、お子さんの安心のためには、お母さん自身が休むことも大切です。 周りに頼れるときは頼りながら、親子で少しずつ日常を取り戻していきましょう。
災害のあと、お子さんのことや住まい、仕事、お金、さまざまな手続きなど、「自分がやらなきゃ」と頑張り続けてしまうこともあると思います。
でも、お母さんも災害を経験した一人です。
眠れない、涙が出る、イライラする、何もする気になれない、災害のことを何度も思い出す、物音に敏感になるなど、心や体にさまざまな変化が現れることがあります。
まずは、食べる・水分をとる・眠る・体を休めるなど、できることから自分の体をいたわってください。
すべてを一人で何とかしようとせず、家族や友人、支援者、行政など、頼れる人には頼って大丈夫です。「少し子どもを見ていてほしい」「手続きを一緒に確認してほしい」など、具体的にお願いするのも一つの方法です。
つらい状態が続いたり、日常生活に大きな影響が出たりしているときは、医療機関や相談窓口など専門家の力も借りましょう。お子さんを大切にするのと同じように、お母さんご自身の心と体も大切にしてください。
親子ともに、すぐに元の生活に戻ろうとしなくて大丈夫です。周りの力も借りながら、少しずつ日常を取り戻していきましょう。
ストレス災害時こころの情報支援センターでは、ストレスを和らげるための呼吸法の講座動画や、親子向けのこころのケアの手引きが公開されています。
ここまで読んで、「こんなに準備することがあるの?」と少し大変に感じた方もいるかもしれません。
でも、すべてを一度に準備する必要はありません。
お水を一本多めに買っておく。
お子さんと避難場所について話してみる。
ハザードマップを一度開いてみる。
防犯ブザーがきちんと鳴るか確認してみる。
そんな小さなことも、立派な「もしもの備え」です。
そして、災害が起きたときに大切なのは、お母さん一人ですべてを何とかしようとしないこと。困ったときには、周りの人や避難所のスタッフ、行政、支援機関など、頼れるところを頼ってください。
災害への備えは、怖がるためのものではなく、自分と大切なお子さんを守り、少しでも安心して行動するためのものです。
このコラムをきっかけに、親子で「もしものとき、どうしよう?」と話してみてください。
今日できる小さな備えが、いつか親子を守る大きな力になります。
本コラムの作成にあたり、エンジェルランプ代表・防災士の椿 佳代さんにご協力いただきました。
椿さんは、災害ボランティアコーディネーターとして長年にわたり各地の被災地で支援活動に携わるほか、防災・減災を考える「エンジェルランプ」や「多文化防災ネットワーク愛知・名古屋」を立ち上げ、子どもや障がいのある方、外国人など、さまざまな方の視点を取り入れた防災にも取り組んでいます。
2024年の能登半島地震でも被災地に入り、避難所の環境整備などの支援活動を行われました。
今回のコラムでは、これまでの被災地支援の経験をもとに、災害時の具体的な行動や家庭でできる備え、避難生活で気をつけたいことなどについて、さまざまなご助言をいただきました。
ご協力いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
※本コラムは、椿さんからいただいたご助言に加え、国や名古屋市などが公開している情報を参考に、認定NPO法人LivEQuality HUBが作成しています。
名古屋市HP
避難所の運営内「第2章 避難所運営シート」2025年12月改正
「被災者支援に関する各種制度」 2026年4月9日更新
いつもしも®子どもとママのリアル防災 2019年11月8日公開
「災害時に急増する犯罪から親子を守る「被災時の防犯対策7か条」
朝日新聞 2026年7月31日公開
「避難所で性暴力を生まないために 東日本大震災の経験生かした対策を」
中日新聞 防災ニュース 2026年3月2日公開
「夜間のトイレは2人でも危険…避難所での性暴力から女性をどう守る?」
独立行政法人国民生活センター 2026年6月29日更新
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「地震に伴う製品事故に注意! ~二次災害を防ぐため平時から備えよう~」